ここが魔境
「冠を持つ神の手」の雑談と雑談と雑談とたまに二次創作テキスト。ほぼ王子。

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かもかて二次創作(という名の超妄想)。#1-2-1
王子愛情B前提の第2話。1話よりちょっと後。
今回は一人称ではないけどローニカたん視点。

 もうひとりの寵愛者が篭りの時を終えてその姿を現したという噂は、貴族の間に瞬く間に広がった。女性を選択した、ということは既に知られていたが実際にその姿を目にするのはまた違う。王位を継承した寵愛者ヴァイルがかねてよりの宣言どおりに男性を選択したこととあわせて、二人を結びつけて考える者が出るのは自然な流れであった。
 思ってもみなかった王配候補の出現に、年頃の息子を持つ家はどこも騒ぎになっていた。女性を抱える家は強力なライバル出現に青ざめたし、男性を抱える家は逆に印持ちとの婚姻の可能性に色めき立った。確かに新王は男性でもうひとりの寵愛者は女性だが、篭りの時が明けてもそれらしき発表はなされていない。成人するまで手出しは無用との前王の言葉も、無事に成人したからには効力をなくしている。暗黙の協定をおとなしく守っている時期は終わったのだ。
 かくして、寵愛者の元には数多くの贈り物そして縁談が殺到したのだった。

「お疲れになられたのでしたら、少し休憩いたしましょうか」
 目を通していた書状を折りたたんだ主人が漏らしたため息を聞き、ローニカは提案する。端に控えていた、年が明けてからこの部屋に配された若い侍従にお茶の用意をするよう囁く。侍従が出ていくと、主人が新たな書状を手に取った。
「無理はなされなくても」
 ローニカの言葉に、主人は曖昧な笑みを見せる。年が明けて二ヶ月余、以前の面影はあれどすっかり女性らしくなった彼女に、かつての子どもらしいあどけなさは窺えない。これがあの、辺境の村で対面した子どもの成長した姿なのだ。年を取ると月日の過ぎるのは早く感じる。そんな彼であっても、この寵愛者と過ごした日々は目まぐるしいものだった。 おきれいになられた。篭りの時を終え、人前に姿を見せるようになった彼の主人に対し、そんな言葉が囁かれている。成人前より共に仕えていたサニャも、目を輝かせ興奮して彼に語ったものだ。だから、この書状の山も予想の範囲内ではあった。
 継承権を放棄したとしても、額の印が消えるわけではない。印を持った子がどこに生まれるという保証もないが、ランテ家を見れば印持ちを取り込めばそれだけ有利なのだと想像はつく。となれば、新たに出現した寵愛者が貴族共の狙いの的になることも、容易に想像はついた。その上に賞賛の文、かなり熱烈な賛美の文が加われば、目を通すにも一苦労だ。
 だが、公にされていないだけで彼女には既に意中の相手がいる。女性を選択したのだって、噂のように新王のためではなく、その相手のためだ。当事者同士のみとはいえ、婚姻の申し出はなされている。このことを知るのは、当人達と新旧二人の王、そしてローニカをはじめとする当事者達の周囲にいる者だけであった。
 明確な取り決めではなく暗黙裡のものとはいえ、成人前の寵愛者とそのような関係になったのは貴族連中にとれば許しがたい協定違反だ。露見すれば非難の嵐が巻き起こるだろう。しかも、よりにもよって相手が悪すぎた。
 タナッセ=ランテ=ヨアマキス。前王リリアノの一人息子。
 王族ではあるものの印を持たない彼は、多くの貴族から侮られていた。タナッセ自身の態度が、より一層、事態を悪くしていたのは確かだ。陛下は王としては有能であるが、子育てには失敗したようだ、そんな陰口が半ば公然と叩かれていたほどに。無能で惰弱な父親によく似ているせいで、リリアノが悪く言われるのは我慢ならない。ローニカとしては許しがたい侮辱であったが、噂を止めることはできなかった。だからあの婚姻には反対だったのだ。ヨアマキスの次子など、王配の器ではなかったし、なによりリリアノに釣り合う相手には思えなかった。だが当時の若き国王はローニカの反対など簡単に退け結婚した。そして今、同じようなことが繰り返されようとしている。



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