ここが魔境
「冠を持つ神の手」の雑談と雑談と雑談とたまに二次創作テキスト。ほぼ王子。

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私の一心同体の伴侶ことNWYさんはっぴーばーすでー!

ヾ(。・ω・。)ノ゙<祝いじゃ!祝いじゃ!
※多分



リリアノ愛B前提

 ほぼ確実に、一目惚れだった。

 僕の初恋は十四になってからだった。遅い方だとは思う。村では幼い頃からみんな大人になったら誰と結婚するだとか、どっちの性別を選ぶとかそういう話で盛り上がることが少なくない。そんな時にあの子はあいつが好きなんだという話や、あそこのお兄さんが女性を選んだから男性になりたいだとかいう話の中で、僕はそんなものかと頷くのが主だった。まあ選ぶんだったらあの子ならいいかな、ぐらいの気持ちはあった。でも、特定の誰かがいいと強く思ったことはなかった。あのまま村で成人していたら、近所の誰かと適当に結婚していただろう。周囲の村人と同じように。
 だけど、そうはならなかった。

 母さんが突然死んで、それから何もかもが変わってしまった。額のあざはただのあざなんかじゃなかった。アネキウスの選定印で、王の後継の証だという。そして僕は城に迎え入れられ、そこで彼女と出会った。
 一目見た瞬間から、僕は彼女以外を考えられなくなってしまった。
 誰かが誰かを好きになるという感覚がこれほど強烈なものだとは知らなかった。好きというのは、僕が母さんや周囲にいる人に抱いているそれと同じようなものだという想像は間違っていた。知らなかったのだから当然だ。知ってしまった後でも、これを好意という括りにしてしまっていいのか、僕自身が戸惑ったほどのものを僕は抱いた。これが、恋なのかと不安になったほどに。
 最初の対面はそう長いものではなかった。ほぼ一方的に彼女が話し、僕は聞かれたことに返事をしただけだった。あまりに現実味がなくて、僕は自分の言ったことすらあまり覚えていないほどぼうっとしていたはずだ。僕のものだという部屋でようやく一息ついた時にも、僕はまだ彼女の余韻でふわふわしていたに違いない。城での最初の記憶なんて、ほとんどなかった。
 だが、ずっと浮かれていたというわけでもない。食事は美味しく量も多く、着る物は清潔で気持ち良く、寝台は柔らかくいい匂いで、夢見心地になるには十分すぎるほどに整った場所だったが、肝心の彼女の姿を見かける機会は少なかったのだ。国王である彼女は当然、日々の政務に忙しかったし、僕は僕で王にはならないとはいえ勉強しろと教師をつけられたからだ。学ぶこと自体はさほど苦ではなかった。その原動力が、最低限でも彼女に見合うだけのものを身につけたいという下心からだったというのは誰にも言えないが。
 彼女の話を理解できるように知識を深めなければならなかったし、恥ずかしい身なりで彼女に近付きたくもない。年齢差はどう足掻いても埋められないが、他のことならばどうにかできるはずだ。誰の目から見ても国王とただの田舎者という差を埋めたかった。
 それでも寵愛者という立場は便利だった。彼女が目をとめたら声をかけてもらえたし、会いに行って運が良ければ一緒に食事も叶ったのだ。まあ食事はせいぜい月に一度か二度といったところだったが。それでも僕は幸せだった。
 僕の城での生活は彼女を中心にして回っていた。

 はじめは多分、憧れ混じりというか、そっちの気持ちの方が強かったように思う。頑張って会いに行って、背伸びして、そうやっているのが精一杯で、それが幸せだった。
 それでは足りないと思うようになったのはいつからだろう?

 許される相手ではないというのは分かっていた。常識的に考えればあり得ないし、混乱の種にしかならないのは明白だった。国王と、継承者候補。由緒ある貴族の出である彼女と、辺境の田舎者。そして彼女には僕よりも年上の息子までいる。あるいは、彼女の息子となら組み合わせとしてはあり得ると見てもらえただろう。だが、そんな仮定には何の意味もなかった。彼女でなければ誰であろうと意味はない。
 僕は彼女しか欲しなかった。

 いっそ身の程知らずと切り捨てられるほうが楽だっただろう。僕自身が不安定な立場で、邪魔に思う人間も、利用しようとする人間も多いことが分からないほど無邪気ではない。そもそもが、僕を城に迎え入れたこと自体が、何らかの思惑の結果でしかないのだ。
 賢く立ち回ろうとしたことはなかった。できもしないことをやって、失敗すれば目も当てられない。何より、彼女の保護下なのだ。僕のやることは彼女へと跳ね返る。責を負うのは彼女なのだ。だからといって慎重になったわけでもなかった。
 結局、僕は僕であって、それ以上でもそれ以下でもない。寵愛者と呼ばれようが、田舎者と謗られようが、僕は僕以外の何かになれるわけではない。だから僕は僕の思いのままに行動した。それなりに勉強をして、時間があれば彼女に会いに行き、それだけでは我慢できなくなった挙句に、告白したのだった。
 結果としては順当なものだっただろう。王として、彼女は僕の思いを受け容れるはずがなかった。どれだけ僕が本気なのかを分かってくれたかもあやふやなまま、その場を引き下がるしかなかった。その後は、特に気まずくなることもなく過ごした。むしろ、彼女が僕の存在を許容してくれているようにすら思えたほどだった。それがどういった感情なのかはさておき。
 僕は、ただひたすら彼女を望んだ。

 子ども時代の最後となる日、決意をもって臨んだ僕に彼女は報いてくれた。共にいる時間を供してくれたのだ。絶対に許されないと思っていた。与えられるはずがないと信じていたものを、彼女は示してくれた。だから僕は迷うことなく決めたのだった。
 彼女について行くことを。



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