ここが魔境
「冠を持つ神の手」の雑談と雑談と雑談とたまに二次創作テキスト。ほぼ王子。

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かもかて二次創作。

王子愛情B前提の1話6回目。
タナッセはいじられてこそ可愛さを発揮しますよね。凹ますのではないです。

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 思わず聞き返すような形になってしまったが、ヴァイルは意図的に私を無視した。
「レハトにはそのうち教えてあげる。もちろん、そっちの人には秘密でね」
「おい」
 言うだけ無駄なのだ。分かっている。ああ、分かっているのだ。どうせ嫌がらせのために私は呼ばれたのだ。レハトがいれば私が強く出られないと見越しているのだろう。まったく、昔から悪知恵だけは異様に働く奴だった。城の者はヴァイルが悪戯をしても憎めないなどと噂していたが、子どもがやるにしてはどうかというようなものがそれなりにあったはずだ。奴が寵愛者だったから、というのはあっただろう。印持ちであるということは、この国において何憚ることもなくいられることを意味する。実際にはそうでないのだとしても。印を持たぬ私とは、扱いも向けられる視線も何もかも違うのだ。奴は、実に上手くそれを利用していた。そうすることを赦されていたし、ある意味次期国王であるのに相応しく力の使い方を分かっていた。
 額のものを目当てに近付く輩も当然多かったが、本人を嫌う者はさほどいなかったと思う。私とは比較にもならない。生意気で自分勝手であることを認められている。腹立たしいことだ。
 今もヴァイルは私の目の前で満足そうに笑っている。が、それは長くは続かなかった。
「陛下、そろそろお時間です」
 控えの部屋から声がかけられた。途端、ヴァイルの表情がうんざりしたものへと急変する。
「うぇー」
 やはり国王たるもの、そう暇な時間などないということか。母上が手を回したとはいえ、僅かなりともこのような時間がとれただけでも運が良かったのだろう。私にとっては面白くなかったとはいえ。
「ほら、さっさとしろ」
 椅子の上でぐずぐずとしているヴァイルに声をかける。
「王様に命令すんなー」
「さぼりに王も何もあるまい」
 抗議を封じるとぶすっとした顔でヴァイルが立ち上がる。
「まったくもー」
 なにやらぶつぶつ言ってる様子だったが、侍従にもう一度声をかけられると仕方がなさそうに伸びをし、小さくあくびをした。恨みがましい目をこちらに向けた後、表情を笑顔に切り替えレハトを見る。
「レハトも明日からは大変になるだろうから覚悟しておいてね」
 分かったという風にレハトが頷く。継承権を放棄したとはいえ、印持ちとして様々な儀式に関わらないといけないという。それにより、ヴァイルの正統性を周知させるという目的なのだろう。印持ちの存在ひとつで、かなりの箔がつく。
「じゃあ、また夕食で」
 言いながら出て行こうとしたヴァイルが、不意に足を止めて振り返る。
「どうした」
「夕食に遅れるようなことしないでね」
「何を言っているんだ」
「分からないならいいよ。じゃあレハト、気をつけて」
 そのまま手を振りながらヴァイルは出ていく。よく分からない気分のままそれを見送り視線を戻すと、私と同じように困惑した表情のレハトと目が合った。


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