ここが魔境
「冠を持つ神の手」の雑談と雑談と雑談とたまに二次創作テキスト。ほぼ王子。

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うん、サクッといけない。世の中そんなに甘くなかったです。

やっぱりタイトルあった方がいいだろうと思いながら二次創作3話目です。
王子愛情B前提。

1-1/2

なんか色々出てくる回です。ふつーになったともいう。
正直、前2回は不要なんだろうと思う。会話とか一切なかったもんな。
削ろうかと思ったけど、まあいいやと。書きたいように書いてます。

 その時、私は書類を文官のところへ持ち込んでいた。まったく細々とした手続きが次から次へと湧いてくるもので、正直これほど手間がかかるとは思ってもみなかった。母上が所領を持たなかったのはこれを嫌ってではないかと疑ったほどだ。
 話もようやく半ばを過ぎたであろう頃、どこかで見たような顔の侍従がやって来たのだった。私に用があるというので、席を立つ。こんな時にどんな用があるというのだろうか。やや苛立ちながら私はその侍従に向き合った。
「すまないが、今は忙しい……」
「陛下がお呼びでございます」
 有無を言わさぬ口調でこちらの発言は封じられる。
 咄嗟に母上を思い浮かべたのは長年の習慣のせいだった。なにしろ、私の生まれる前から国王は母上だったのだ。生まれてから十八年間かわることのなかった事実だ。国王ではない母上などこれまで想像もできなかったほどに。だが、現実には母上は王位を退き、この国には新たな王が立った。
 第六代リタント国王、ヴァイル。
 印を持って生まれた、この国の正当な継承者。
 侍従の顔に見覚えがあると感じたのはそのせいだったかと得心しつつも、思ってもみなかった呼び出しに私は少しばかり眉をひそめた。
 奴は篭りの時を終えたばかりだが、王位の引継ぎで私よりも忙しいはずだ。私なぞより会わねばならない人間が山のようにいるだろうに。何かあるのなら夕食時にでも予定を合わせれば済むことなのだから、日中にわざわざ呼びつける理由がない。
 だが、こうして呼ばれたということは何かがあるのだろうし、こちらは断れる立場ではない。
「分かった」
 頷くと、応対してくれていた文官のところへ戻る。まず中座を詫び、理由を告げる。さすがに国王直々の呼び出しとあらば、向こうも文句を言えない。その視線に含むところがあると感じるのは、私の気にしすぎだろうか。陰口は仕方ないのだと頭では理解していても、なかなか納得はできない。これまでの態度と、今の行動とは噂好きにはさぞや面白かろう。まったく、くだらない。どこに対するともつかぬ苛立ちが胸中をよぎる。話の腰を折った侍従か、その原因のヴァイルか、この城に対してか、それとも自分自身にか。もやもやとしながら侍従の先導に従う。モルが後からついてくる。
 しばらく廊下を歩き、案内されたのは居住する塔に近い部屋だった。鈴を鳴らすと侍従が出てきて、私の顔を見ると中へ入れてくれる。控えの部屋に入るなり奥の間で誰かが喋っているのが聞こえた。話の内容までは判別できないが、ヴァイルが喋っているのだと分かる。モルにここで待っているように告げると、私は扉に手をかけた。
「遅いぞー」
 扉を開けるなり、こちらを認めたヴァイルが文句を投げつけてくる。
「あのな、私にだって都合というものがあるのだぞ」
 にやにやとしか形容できないような下品な笑みを浮かべる奴の顔には申し訳なさの欠片もない。相変わらずの傍若無人ぶりは、王座に就いたことで今後ますます増長されるのだろう。先を思うと頭が痛くなる。
「はいはい分かってますよ。ほら、相変わらずでしょ」
 言葉の後半は私に向けられたものではなかった。ヴァイルと向かい合わせ、入ってきた私に背を向けて座っている人物が誰なのかは、顔を見るまでもなく分かった。この日を、ずっと待ち望んでいたのだから。それで呼ばれた訳が分かった。ついに、来たのか。


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